青ぐる号外攻略篇 ロイヤルは狙うべきか
ロイヤル積極策のコストに関する考察
この節では、どれくらい積極的にロイヤルフラッシュを狙うことができるのかについて、取り上げようと思います。 この話題については、吠太郎氏による詳細な考察 ■RFの出現頻度 これまでの仮定に基づくと、RF=4500の時にペイアウトを最大とする戦略で青ぐるをプレーしたときのRFの出現頻度は、39349.55回に1回の割合です。RF=2500の初期状態でペイアウト最大戦略を採ると、44161.86回に1回、逆にRF=10000では37789.57回に1回とそれぼど出現数は増加しません。ペイアウト最大指向の場合にはだいたい3.8〜5万回に1回と考えてよいでしょう。 前出の「基本戦略」を無意識に実践できるくらいのプレイヤーの場合、そこそこの回数のダブルを叩くとすると1時間で400プレーくらい(1プレー9秒[*1])でしょう。4万プレーのためには100時間程度が必要となります。 吠太郎氏の記述のとおり、100時間ちょうどプレーしたプレイヤーが、ロイヤルをちょうど1回引く確率は、これがポアソン確率に従うものとすれば、ちょうど1/e[*2]、つまり36.8%となります。同様に1回も引けない確率も36.8%、1回以上引く確率は63.2%、2回以上引く確率は26.4%、3回以上引く超幸運な確率は8.0%となります。 縁起の悪いおハナシをすれば、平均の2倍の200時間をプレーしても1回もロイヤルを引けないプレイヤーは、1/e^2なので、全体の13.5%、さらに引きの弱い全体の4.98%なお方は、3倍の300時間プレーしても1回もロイヤルに遭遇できません。。。 言い換えると、週5時間ペースで青ぐるを1年間もくもくと20人がプレーすれば、かなりヒキの弱い若干一名を除いて、残りのプレイヤーは皆ロイヤルを1回はひけることになります。 ■ロイヤル積極策 世の中には溜まっているプログレをみると、どうしても落としてしまいたくなるお方がいらっしゃるようです。青ぐるRFでいえば、8000を越えてくると必然とRF狙いなハンターがどこからとなくやって来ます[*4]。前節によれば、プログレが8500を越える確率は約5%、10500を越えるのは2%未満となります。実際には強引にロイヤルを狙ってくるプレイヤーが増加しますので、さらに小さい確率となるはずです。 必然的に、RFのプログレ値が大きくなれば、ロイヤル重視のホールドとすることが、p/o%を最大にするということは直感的に理解できると思います。 しかし、RFのプログレ値が小さなうちでも、RFのためならワンペアどころかフラッシュさえ惜しくないというプレイスタイルで大きく勝負に出るような楽しみ方も、メダルゲームならではの遊び方といえるでしょう。もちろん、短時間で行われるトーナメント大会や使い放題のイベントでも、ロイヤル積極策は上位入賞の確率が高める効果があります。 では、強引にロイヤルを獲りにいくと、どの程度まで出現頻度を大きくすることができるのでしょうか。またその時のリスクはどの程度になるのでしょうか。吠太郎氏にならって、ここではそのあたりを探っていきましょう。 例によって、RFのプログレ値は4500、ホイールウインの期待値はY=69と仮定します。この時ペイアウト最大となる戦略で青ぐるをプレーすると、RFの出現頻度は39349.55回に1回で、ペイアウトは94.37%であることは、すでに説明しました。いまこの戦略を「RF=4500の戦略」と呼ことにします。 この「RF=4500の戦略」でわたしたちは、RFに関しておおまかに Dealt 4 RFは、1Pより優先。 Dealt 3 RFは、1Pより優先、しかし2PならBreakしない。 Dealt 2 RFのうち、JT,QT,QJ,KT,KJ,KQの組合せでは、4 ST insideより優先、しかし 4 ST open, 3K+, 3 SFより優先しない。 Dealt 2 RFのうち、AT,AJ,AQ,AKの組合せでは、4 ST, 4 FL, 3K+, 3 SFを優先するが、3 ST, 3 FLはブレイクしてRFを狙う。。 ということを既に知っていることになっています。。。念のために例を挙げておきましょう。 例)Th Jh Qh Kh Kd --> Th Jh Qh Khをホールド。 例)5h Th Jh Qh Qd --> Th Jh Qhをホールド。 例)Jh Jd Qh Qd Ah --> Jh Jd Qh Qdをホールド。 例)7d Th Qd Kh As --> Th Khをホールド。 例)9d Th Jd Qd As --> 9d Th Jd Qdをホールド。 例)7d 9h Th Jh As --> 9h Th Jhをホールド。 例)5d 9h Td Jh Ah --> Jh Ahをホールド。 例)5d 8h 9h Jh Ah --> 8h 9h Jh Ahをホールド。 ここで、実際のRFのプログレ値は4500のままであるのだけれど、仮にRF=XXXXXであるものとして青ぐるをプレーしたとき、つまり「RF=XXXXXの戦略」でプレーしたときのRFの出現確率とペイアウトについて計算すると次のような表を得ることができます。
この表のデータ作成には、例によってBob氏作のWinPoker(Zamzow Software Solutions)、TomSki作のVideo Poker Strategy Master(Zamzow Software Solutions)を用いました。 またこれをグラフにしてみると、下図のようになります。これらの図表から次のような結果を得ることができます。 (1) 「RF=0の戦略」〜「RF=15,000の戦略」程度の戦略変更では、p/o%はほとんど変化せず94%程度である。これは、「青ぐる」のペイアウトがRFではなくて、FH〜5Kのプログレウインに大きく依存していることを同時に意味している。 特に吠太郎氏のいうようにRFに対して最も消極的な「RF=0の戦略」を実行したとしてもp/o%の低下は0.8%程度にしかすぎない。一方で、出現頻度のほうは約1/87000回から約1/37000回までダイナミックに変化する。 これは(やはり吠太郎氏と同じく)ちょっと、驚くべき結果といってもよいでしょう。STやFLの配当が大きいDENではちょっと計算結果は異なりますが、一般的な設定の場合は、Dealt 3 RFをSTやFLより優先するという戦略だけを採用した場合、p/o%の低下は僅かに0.12%程度でしかありません。例を挙げてみます。 例)8s 9d Th Jh Qh --> Th Jh Qhをホールド、STをブレイク。 例)4h 8h Th Jh Qh --> Th Jh Qhをホールド、FLをブレイク。 これだけでRFの出現頻度は約1/37000回まで約5%上昇します。STやFLを狙って、うまくヒットした後、ダブルダウンを叩くなのなら(ダブルの回数にもよりますけれど)リスクは似たり寄ったりですので、RFを狙う意味は十分にあります。 さらにDealt 3 RFに対して、3Kや 4 SFをブレイクする戦略を採ると、極長期的なp/o%は約1.1%の低下に抑えつつも、ロイヤルの出現頻度を約1/34000回まで約14%も増加させることができます。 これは結局、4 RFをよりSFより優先、3 RFを1P,2P,3K,ST,FL,4SFより優先、2RFを4FL, 4STより優先する戦略に相当することになります。例を挙げてみると、 例)JK Th Jh Qh Ah --> Th Jh Qh Ahをホールド、RJ (SF)をブレイク。 例)9h Th Jh Js Jd --> 9h Th Jhをホールド、3Kをブレイク。 例)9s 9h Th Jh Qh --> Th Jh Qhをホールド、4SFは優先しない。 例)6s 9d Th Jh Qs --> Th Jhをホールド、4STは優先しない。 例)JK 3d Jh Qh Kh --> Jh Qh Khをホールド、4SFは優先しない。 のようになります。「RF=20,000の戦略」では、4 RFに対してDealt SFをBreak、「RF=30,000の戦略」〜「RF=40,000の戦略」では、ジョーカーの有無にかかわらず、3 RFに対して4 SFさえもBreakするというちょっと信じられないような戦略となります。 しかし、これはFH〜5Kまでの役の配当をプログレウインの平均値とした影響で、現実的には1st〜4thのプログレ値をみて、期待値が平均値を上回る場合は、RFを優先すべきではありません。またプログレ値が低い場合でも、極長期的なp/o%はほとんど低下しなくても、破産リスクは大幅に上昇するということを、忘れてはいけません。 しかし、このようにほんの少しの戦略の変更で、p/o%はほとんど変化しないにもかかわらず、ごく普通のマシンから一発型のマシンへと、プレイヤー側が性格を変えることができるという事実は、非常に興味深いところです。 (2) 「RF=60,000の戦略」〜「RF=150,000の戦略」程度にまでRFに対して積極的な戦略にすると、RFの出現頻度は約1/28000回まで上昇するが、p/o%も約87%までに低下する。 これは、2RFを1Pよりも優先する戦略に相当します。例えば、 例)5h Jh Js Kh Ad --> Jh Khをホールド、1Pをプレイク。 のようになります。このような積極的な戦略をとることで、RFの出現頻度は28%以上向上しますが、それに見合うペイアウト的な成果を得ることはできません。しかしメダルに余裕があったり、収支を気にしない「ロイヤル命」なプレイヤーや、いちゃつくカップルに嫌がらせをしたい場合、某店のマシンパネルにポラロイド写真を貼付けたいなどという場合に、ある意味有効な戦略といってよいでしょう。このような目的のためにp/o%にして7%程度のコストは、「安い」のかも知れません。 「7%はちょっと。。」と感じる場合は、「RF=50,000の戦略」に相当する、 2RFのうちQJ,QT,JTの組合せについてのみ1Pより優先するという戦略が適しているでしょう。この場合のペイアウトは91.81%なので、コスト2.5%強程度でRFの出現頻度は約1/31900回と約19%も向上させることができます。 (3) 「RF=200,000の戦略」以上にRFに対して積極的な戦略をとっても、出現頻度はほとんど向上しない反面、ペイアウト率は急激に低下し場合によっては30%さえ割る。 つまり、2 RFをST,3Kより優先させると、RFの出現頻度は約1/27000回とさほど向上がみられないにも関わらず、p/o%は80%程度までに低下してしまいます。 理論上のRFの出現頻度の最大値は1/25429回[*5]ですから、もうこれ以上の積極戦略をとったとしても、さらなるp/o%の低下を招くだけとなります。2 RFに対して4KまたはFHをブレイクすると、p/o%は50%強となりこの時点でほぼ理論上の出現頻度に限りなく近い約1/25578回となります。Dealt SF(10以上のカードなし)をブレイクする戦略は、最もRFに対して積極的となりp/o%は27.64%となってしまします。 このアタリの戦略は、もう数学的な興味でしかないでしょう。 ■まとめ 以上、(1)〜(3)をまとめましょう。 まず、プレイヤーの採る戦略によって、RFの出現頻度はかなり自由に変動させることができることがわかりました。RFの出現頻度を大きくするような戦略は、必然的に破産リスクを大幅に増大することになりますが、メダルゲームの楽しさをそこに見い出すプレイヤーにとっては、その楽しさの代償であるに過ぎません。 破産リスクの感じ方や、大勝負に出る快感の大きさはひとそれぞれです。メダルゲームの場合、単純にメダルが増えることだけでなく、ゲームの面白さや、ジャックポットまでの過程、達成感、果てはメダルを浪費することもまた楽しみのひとつでしょう。 現実的なところとしては、プログレウインの期待値(の推定値)が平均値69より小さい場合は、p/o%をさほど低下させない「RF=50,000の戦略」(出現頻度約1/31900回、p/o%=91.81%)までを採ってもよいでしょう。プログレが育ってきたら、無理にプログレ目をつぶすようなホールドは避けるのが賢明といえます。ある意味当然な結果ではありますが、これもひとつのプレイスタイルに過ぎません。 さて今回は、「ロイヤル積極策」のコストについて調べた結果、意外にも少ないコストでロイヤル降臨の頻度を高めることがわかり、正直いって執筆者本人も驚いています。そうゆう本人も「K」一枚からRFを引いてしまったという経験もあったりします。今回の記事を通じて、みなさまにもRFが近付くことをお祈り致します。 |
[*1]ダブルを叩かない場合でも「青ぐる」では600プレー/時(1プレー6秒)が限度でしょう。 [*2]eは自然対数の底=2.71828... [*3]実際執筆者本人も、ややロイヤル積極策で打つことが多いです。多少のコストを払ってでもロイヤルを拝みたいですからね。 [*4]ごく一部の店鋪では、10000を越えていても見向きもされないという場合もありますが…。いやそれが本来の姿だとする意見もあり。 [*5]理論上のRFの出現頻度の最大値は1/25429回=ジョーカー入の場合。ジョーカーなし52カード1デックの場合は、1/23081回。 |