めだる外伝/ ロイヤルフラッシュへの心構え
何枚ホールドからどのくらい出現するのか
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ドローポーカーをプレイしているひとならばみんな、“Dealt 4RF”の場面にアツさを憶えられずにはいられない。なにせ(52枚デック一組使用ならば)1/47の確率で望みの札がめくれるのです。 大雑把に“1/4万くらい“であるだとか、“100時間に一回くらい”であるなどと言われるロイヤルフラッシュ(RF)の再現周期(あるいは出現頻度)。それは突然Dealtでやって来ることもあれば、カス手のredrawからということもあり得ます。Dealt 4RFはいったいどのくらいの頻度でやってくるチャンスなのか?、それはRF全体のどのくらいの出現頻度を占めているのか?。今回はそのような疑問について整理することにしましょう。 ということで、今回は、ロイヤルフラッシュを主として各ポーカーハンドが、どのようなホールド手から、どのくらいの確率でどれだけ出現するのかについて考えてみることにします。対象とする機種は、カジノにおける代表的なマシン:9/6Jacks or Betterおよび、国内アミューズでも大人気であるDouble Double Jackpot(sigma)について取り上げることにします[*1]。 解析には、拙作のビデオポーカー解析ソフトウエア『Video Poker Analyzer EVE』を(さっそく)用いることにしましょう[*1]。 |
◆1. どのくらいの頻度でチャンスは訪れるのか? まずはじめに、いわゆるロイヤル目の出現頻度について調べてみましょう。もちろんDealにおけるロイヤル目の出現頻度は、52枚デックを一組使用するゲームにおいてはどれも同じであり、以下のようになります。 ◇Dealt RF:4通り ◇4RF:4*C[5,4]*47=940通り ◇3RF:4*C[5,3]*C[47,2]=43240通り ◇2RF:3RF+2RFとなるような組み合わせや、2RF+2RFとなるような組み合わせを除きます。 4*C[5,2]*C[47,3]-4*[5,3]*3*C[5,2]-C[4,2]*C[5,2]^2*42=622200通り ◇1RF:1RF+他4枚は{2〜9}、1RF+1RF+他の3枚は{2〜9}、1RF+1RF+1RF+他の2枚は{2〜9}、1RF+1RF+1RF+1RF+{2〜9}の4通りに場合分けします。 4*C[5,1]*C[32,4]+C[4,2]*C[5,1]^2*C[32,3]+C[4,3]*C[5,1]^3*C[32,2]+C[4,4]*C[5,1]^4*C[32,1]=1731200通り ◇0RF:{2〜9}の32枚のカードから5枚を選ぶ組合せに相当します。 C[32,9]=201376通り これを表にまとめてみると、次のようになります。
この表をみてわかるように、Dealt RFは、僅かに平均64万9740通りに一回という事象であるのです。これは、一時間に600ハンドを打てるプレイヤーですら、約1083時間に一回といいますから、実に呑まず寝ず喰わずして45日以上の再現周期なのです[*2]。 このあたりの確率が“いったいどのくらいのもんであるのか?”ということについては、「なぞのX」氏による「東京ラスベガス(など)ランド」の記事「ロイヤル様への道」にうまく解説されておりますので、是非ご参照ください。 ◆2. そのときどれくらいの頻度でロイヤルフラッシュは揃うのか? 何かしらロイヤル要素のカードをホールドしてDrawする限り、RFは必ず一通りしか出現しません。例えば、一枚の「J」をホールドすれば、そのスートでしかRFは成立しないからです。すなわち、m>0なるmについて、m枚のロイヤル要素カードをホールドしたとき、見事RFが揃う確率は、1/C[47,5-m]で現すことができます。 ここで分母は、C[47,0]=1通り, C[47,1]=47通り, C[47,2]=1081通り, C[47,3]=16215通り, C[47,4]=178365通り のようになります。 例えば、1/2765の頻度でDealされる“4RF”から、この“4RF”をホールドしたときに、RFが揃う確率は常に1/47、 約1/60.1の頻度でDealされる“3RF”から、この“3RF”をホールドしたときに、RFが揃う確率は常に1/1081となります。 同様に、2RFでは常に1/16215、{A,T〜K}のうちどれか一枚だけをホールドしたときは、常に1/178365の確率でRFが揃うことになります。これらの確率については、憶えておいてもソンはないでしょう。 ◆3. 実際のゲームへの適用 これまでの議論において、Dealtにおけるロイヤル要素カード数による場合分けでは、RFを優先しない手も含まれます。ゲームの配当によって、どのような場合にRF手を採用するかは違ってきます。そこで、いま9/6 Jacks or Better(9/6JB)とDouble Double Jackpot(DDJ)とについて、DrawにおけるRF優先手の戦略数を調べてみることにしましょう。 前提となるOddsは、9/6JBは、RF:800, SF:50, 4K:25, FH:9, FL:6, ST:4, 3K:3, 2P:2, JB:1 (p/o=99.5439%) DDJは、RF:1000, SF:50, 4AwF:320, 4A:160, 4Fwk:160, 4F:80, 4K:40, FH:7, FL:6, ST:4, 3K:3, 2P:1, JB:1 (p/o=95.81814%) とします。 拙作のビデオポーカー解析ソフトウエア「Video Poker Analyzer EVE」を用いて厳密に戦略を解析し、その手数をカウントすると次のような結果を得ます(この結果は、公開versionでは出力されません)。 これらの表では、例えば“3RF”は3RF手をホールドすることを意味しており、すなわち“0RF”はRF手以外の少なくとも一枚のカードをホールドしてDrawすることを意味しています(実際には以下の9/6JBおよびDDJにおいて、一枚ホールドする場合は必ず1RF手になります)。“Redraw”は、どのカードもホールドしない場合の数です。
この表を見てまずわかることは、当然Dealt RFはブレイクしないので“As Dealt”と同じ手数となっていますが、それ以外の“4RF〜0RF”では“As Dealt”と異なる手数となっているということです。 これは、例えば4RFの場合、「9TJQKs」のSFは、ペイアウトを最大とする戦略では、Breakしません。この4RFでもある4つのホールド手数が、差し引かれることになるのです。 同様に43240通りもあった3RF手も、実際にペイアウト最大戦略においてホールドする場合の数は、27492手ないし30816手であることが示されています。これは、3RFであっても3Kや2Pが同時に成立している場合はペア系を、あるいはDealt FLやSTである場合は、それらをホールドすることを優先するからに他なりません。 従って、約1/60.1で配られる3RF手も、実際にロイヤルが生じる可能性があるホールドをする頻度に修正すると、約1/94.5ないし1/84.3ということになります。ただし、3RFをホールドすれば、DrawでRFが揃う確率には変化なく、1/1081であることはいうまでもありません。 1/94.5ないし1/84.3という頻度は、(一般的なプレイヤーの場合)一時間に5回くらいやってきますから、平均200時間強で一回1/1081の抽選を克服し、「栄光のロイヤルフラッシュ」に謁見できるということになります。 と、ここで気になるのは“200時間とちょっと”という時間でしょう。冒頭に、RFの出現頻度は“大雑把に100時間に一回くらい”であるということを示しています。つまり、残りの(約)半分(より少し多い)は、それ以外の手から“やって来る”ということなのです。 ◆4. 何枚ホールドからどのくらい出現するのか そこでこの節では“RFが何枚のホールドからどのくらい出現するものなのか?”について、詳しく調べてみることにしましょう。 1枚以上のロイヤル要素のカードをホールドした場合については、◆2.で述べた通りであるわけですが、ここでは「Redraw:全部のカードをドロー」となる場合においてもRFが揃う場合があるこということに注意しなければなりません。 つまり、あるスートの{A,T〜K}について、これらのカードを一枚も捨てなければ、そのスートについてRFが揃う可能性があるわけです。この場合分けは非常に多岐にわたりますので、ここでは省略し、(Video Poker Analyzer EVEによる)解析結果のみを示すことにしましょう。ついでにRF以外の役についても調べあげると、次の表のようになります。 最初の表は9/6JBについて、1Unit(=2598960通り)に対する、ホールドカード数別の各役の出現頻度を現しています。次の表は、それを各役ごとに、ホールドカード数別の割合を示しています。DDJについても同様に結果を示しました。
まずRFについて着目することにしましょう。 まず、RF全体の出現頻度に対する“3RF”からRFが揃う割合は、9/6JBで39.5%、DDJにおいては42.4%であり、概ね四割を占めており、これは前節の結果と一致します。では残りはどうであるかというと、“4RF”から揃う割合が約三割、“2RF”からが約二割、残りの一割のうち、約2/3(=6%くらい)をDealtが、約1/3(=3%くらい)を“1RF”が占めています。 極僅かに“Redraw”手からRFが出現することが示されていますが、これは9/6JBで0.1860309/25988960、DDJにおいて0.1134726/2598960の確率であり、ペイアウトを最大とする戦略をとる限りにおいて、それぞれ平均約1400万ゲームに一回、平均約2300万ゲームに一回という頻度です。 「RF全体の出現頻度に対して“3RF”からRFが揃う割合が一番大きい」という結果については、注目すべきでしょう。また“2RF to”についても約二割を占めているという結果からわかるように、決して無視できる量ではありません。すなわち、2RFとなる戦略を間違いなく選択できるということが、いかに重要であるかを認識する必要があるわけです。 さて、続いてその他の役について、考察を進めてゆきたいところですが、これは読者に委ねることにしましょう。憧れの「4 Aces with kicker」も1枚ホールドから揃ったり、3Kの約1/4は、QuadやFHに成上がれなかった“残念Trips”であることが読み取れるでしょうか。 それはいつも突然。いつかしこロイヤル様と御対面できるよう、冷静な心構えと適切な判断を。 |
[*1] 実際は、拙作の解析ソフトウエア『Video Poker Analyzer EVE』の現在の仕様上の問題のためJoker Wild系は取り扱えないため。 今回、ここに記述した内容について、一部の解析結果は、シェアウエア登録後においても出力されない内部情報を含んでいます。 [*2] この希有なDealt RFが、僅か半月ほどの間に三回も“配られた”偉大な女史を知っています。恐るべし。 |
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